ハウスリストは宝の⼭︕リード獲得はできていてもパイプライン創出に悩んでいる担当者へ
更新:2023年03⽉28⽇(⽕)| 公開:2023年03⽉28⽇(⽕)| MA
マーケティング施策を実施することで、着実にリード獲得は伸びているのにパイプライン創出につながらない…︕︕こんなお悩みを抱えた経験はありませんか︖
実は私たちも同じ壁にぶつかりました。
5年間に渡るマーケティング施策の積み重ねで蓄積したハウスリスト(⾒込み顧客の情報)。ただその中⾝ってどうなっているのか向き合えていないまま、今までの延⻑で既存のハウスリストに施策を打ち続けた結果、施策を実施しても案件創出に繋がらない負のスパイラルに陥ってしまっていたのです。
このような状況に対して、「ターゲット “リード” が定義できていない」「ハウスリストの内容を把握できていない」ことが、効果的な施策を企画・実施できていない根本原因でした。
このコラムでは、実際に私たちが「着実にリード獲得は伸ばしているものの、パイプライン創出に苦戦している」という課題に対してどうアプローチしたのか、そしてどんな壁にぶつかったのか、マーケター・インサイドセールス・MAオペレーター・アナリストといった多種多様なメンバーと⼀緒に取り組んだ実際の体験をご紹介したいと思います。今、同じお悩みに直⾯している皆さま、ぜひご⼀読ください。
目次
⾃社ハウスリストに対する課題と背景
冒頭で、「着実にリード獲得は伸ばしているものの、パイプライン創出に苦戦している」課題の原因として2つ挙げました。
1つ⽬が「ターゲット “リード” が定義できていない」、2つ⽬が「獲得したリード(=ハウスリスト)の内容を把握できていない」ということです。
この2つの原因をもう少し細かく掘り下げていくと、以下の現状が⾒えてきました。
1.ターゲット “リード” が定義できていない
- ターゲット “企業像” は⼤枠決まっているものの、ターゲット “リード” が不明瞭
- 実際にフォローするのは “⼈”(=リード)であるため “リード” 単位でターゲットとする条件を決める必要がある
2.獲得したリード(=ハウスリスト)の内容を把握できていない
- どんな(属性・⾏動)顧客がいるのか
- ハウスリストのうち、ターゲットリードは何割いるのか
- ターゲット企業のうち何社をすでに獲得しているのか
- 有効商談に近しいリードがどれくらいいるのか、どんな⾏動をしているのか
- 有効商談に遠いが、ターゲットであるリードがどれくらいいるのか、なぜアクションしてくれないのか
以上のことから、この2つの原因を解決するために、私たちは2つのゴールと最終ゴールを定めました。
2つのゴール
- ターゲットリードの定義を明確にする
- ハウスリストにどのくらいターゲットリードがいるのかを明確にする
最終ゴール
可視化されたランクごと(ターゲット)に適切なコミュニケーション設計、より効果的な施策の実施をすることでパイプライン創出に貢献する
次は、この2つのゴールに向かってどのようにプロジェクトを進めていったのかをご紹介します。
解決のための5つのアプローチ
2つのゴールへ向かって実際にプロジェクトを進めていく前に、プロジェクトメンバー内で現状の全体把握と2つのゴールに対してどんなアプローチをするかの⽅針整理を⾏いました。そして以下、1〜5の流れでプロジェクトを進⾏することに決定しました。
ターゲットリードの定義を明確にする
- 商談化・案件化顧客データを⽤意し、tableauを使って属性や⾏動傾向の可視化を実施
- 可視化データから属性や⾏動傾向を読み解き、インサイドセールスにて設定しているフォロー条件なども参考のうえ、ランク定義・ターゲットを決定
ハウスリストにどのくらいターゲットリードがいるのかを明確にする
- 決定したランク定義の指標をプロジェクトメンバーですり合わせ、その指標をPardotの項⽬データとして持たせることで絞り込みを実現化
- 決定したランク定義のハウスリスト内分布を、tableauを使って可視化
- Pardot内で各ランクのリードをリスト化しアクションがとれる状態にする
※Pardotは2022/4/7よりMarketing Cloud Account Engagementに名称が変更となりましたが、ここではPardotと記載いたします。
1.商談化・案件化顧客データを⽤意し、tableauを使って属性や⾏動傾向の可視化を実施
まず、MAであるPardotに⼊っているカテゴリごとの商談化・案件化顧客データを⽤意し、tableauというBIツールを使って属性ごとの分布やターゲットの割合などを可視化しました。
BIツールを使⽤して分析することでPardotだけではわからない属性データと⾏動データを掛け合わせた顧客の情報を可視化することができます。
2.可視化データから属性や⾏動傾向を読み解き、インサイドセールスにて設定しているフォロー条件なども参考のうえ、ランク定義・ターゲットを決定
決定までのフローは以下の通りです。
- 「1. 顧客データ可視化」にて作成した「商談化」「案件化」のダッシュボードを⽤意
- 作成したダッシュボードより、商談/案件化する顧客の共通項を分析
- 属性:売上⾼、従業員数、部署、業種、役職、地域
- ⾏動:メルマガ、ウェビナー、資料DL
- 季節性:年度末の予算消化、IRサイトのリニューアル時期
- 会社軸と⼈軸に分け、不変/可変、ランク上下の影響の⼤⼩に区別がつけられるように分類
3.決定したランク定義の指標をプロジェクトメンバーですり合わせ、その指標をPardotの項⽬データとして持たせることで絞り込みを実現化
決定したランク定義の指標をプロジェクトメンバーですり合わせ、その指標をPardotの項目データとして持たせることで絞り込みを実現化しました。
4.決定したランク定義のハウスリスト内分布を、tableauを使って可視化
ここまででランク定義をしたものを実際に分類し、指標の認識合わせをするところまで⾏いました。
次は実際に上記で決定したランク定義に当てはまる顧客が何名いるのかをtableauを使⽤して可視化しました。
5.Pardot内で各ランクのリードをリスト化しアクションがとれる状態にする
最後に、各ランクのリードをPardot機能のひとつである「ダイナミックリスト」という、設定した条件に基づいて⾃動的に更新されるリストを作成し、私たちからアクションを取れるような状態にしました。
以上、5つのアプローチにより、「各カテゴリのターゲットリードの定義を明確にする」「ハウスリストにどのくらいターゲットリードがいるのかを明確にする」という2つのゴールを達成することができました。
プロジェクト中に直⾯した3つの壁
上記で2つのゴールに向けて⾏った5つのアプローチを書きましたが、そこに⾄るまで私たちは様々な壁にぶつかりました…。
どんな壁にぶつかったのか、3つのポイントにまとめてご紹介していきます。
1.役割により視点が異なり、議論の⽅向性が定まらない
⽬標を定めて始めた今回のプロジェクトでしたが、実際にスタートしてみるとメンバー間の共通認識の不⾜によって、議論内でゴールを⾒失ったり、それぞれの⽴場の考えに逸れていったりしてしまうことがありました。それによってロスタイムが⽣まれてしまいました。例えば、インサイドセールスはアポイント、マーケはパイプライン、営業は受注など、⽇常業務の⽬線が異なるため、油断するとすぐに議論が⾶躍してしまいました。
そこで、私たちは “なにを明らかにしたいのか” の⽬的を絞ることで、最終的に実現したい事をプロジェクトメンバー全員で握り、共有認識の不⾜を改善することができました。
活動全体の取り組み⽅法として、断続的ではなく集中して時間を取り、対⾯で意⾒を出し合う場を⽤意しても良いかと思います。
2.「データを⾒れば何か分かるかも」はない
仮説を⽴て、検証をするためにデータをみる必要があります。
しかし、実際に取り組んでみると難しく、特に「課題の顕在化から仮説を⽴てる」の初動が上⼿くできず悪戦苦闘をしました。
⽅法としては、「仮説を⽴てる→データ分析」と「データ分析→仮説を導く」やり⽅の2パターンがあると思いますが、今回の取り組みとしては前者だったと思いつつ、⾏動データ・属性データのさまざまなデータを⾒ていると、あれもこれもと気づくことが多く、派⽣した課題にも意識が向きそうになりました。
「明確なゴールを共通認識として持つ」を前提とした上で、プロジェクトのスタート時に「保有するデータを活⽤し、ゴールに向けた仮説をしっかりと⽴てる」事が、その後の活動をぶれがなく進めるために重要であることを実感しました。
3.役割ごとに使⽤するツール&データ活⽤のリテラシー不⾜
今回のプロジェクトでは複数の役割のメンバーが参画しました。そのためメンバーそれぞれにツールに関する知識にバラつきが⽣じ、以下のような問題点が発⽣しました。
- TableauやMAの操作⽅法、専⾨⽤語の理解が怪しいところが多い
- アナリストが想定するダッシュボードと、マーケターが⾒たい指標に乖離がある
- 本来は⾒えるはずのデータが、使い⽅を熟知していないがゆえに⾒落としていた可能性がある
この問題を防ぐために、まずは参加者全員のベース知識を予め把握しておき、適宜「今は話しているのは○○のことです。○○というのはこういうものです。」などのように補⾜しながら話し合いを進め、リテラシーの差による置いてきぼりをなくしていきました。
様々な⽴場のメンバーが集まる事で、「専⾨的スキルの強みを活かす、視点を増やせる」という良い点もあれば、「共通認識不⾜による⽅向性の違い」などの注意すべき点も⽣まれます。
マーケター⽬線で重要となる点は、各分野におけるリテラシーが⼗分ではないことを⾃覚した前提で「○〇が⾒たい」の最終ゴールの⾔語化と共通認識のすり合わせを⾏い、分析⼯程はプロに聞くことです。そうする事により、プロジェクト全体のスピード感を保ちつつ、ゴールに向けて活動を⾏う事ができました。
実際にプロジェクトに参画したメンバーの声
最後に、プロジェクトを通して得た気づき・感じた事など、メンバーの役割ごとにリ アルな声をお届けします︕
【マーケター】
- 5年間のマーケティング活動の成果としてハウスリスト件数を増やすことにフォーカスしてきましたが、貯まったリストに対しての精査や活⽤はできていなかったので、ようやく⼿をつけられた点がよかったと思います。
- 普段いかに「データを⾒ていない・意識できていない」ということを⾃覚しました。使⽤ツールによってデータが分かれているので、個々で⾒えることだけを⾒ようとしがちですが、俯瞰する視点が⼤事です。
- 属性データや⾏動データを分析すると、普段、マーケやISR、営業メンバーで会話する際のターゲットの条件が、データ上で合致している点としていない点があるといった気づきがありました。
- MAでの操作がこの場⾯で役⽴っているのか︕と思うことがありました。⼈にフラグをつける真の意味がこの機会に理解できました。
- ハウスリストのデータを分析する中で、「データに基づいたリストのセグメント設計→そのセグメント設計をするためにリード獲得する際のアンケート設計の改善点がある」など、通常のマーケティング活動の中で⾒直すべき点に気づきました。
- 今後の取り組みに活かしたいと思います。ハウスリストの量<質にこだわった施策もトライしていきたいですね。
【インサイドセールス】
- 「○〇な感じのお客様はHOT…」のような定性的な判断軸を定量に落とし込んでいく難しさを実感しました。そして、今までハウスリストに全然向き合えていなかったなと思います。5年の積み重ねで宝の⼭なので、いかに活⽤していくのかは今後も継続的に⾏っていきたいです。
- 「Tableauでこのような数値が⾒ることができるんだ、MAってこのような活⽤もできるんだ」と知らなかったことの連続でした。分からない領域を⾃分で模索するよりも、専⾨領域の知⾒を持つスペシャリストのメンバーと取り組むことで、新たな発⾒と⾃⾝の今後の成⻑にもつなげたいと感じました。
【MAオペレーター】
- マーケターが広く浅く知識を持つ重要性を感じました。企画×データ収集の設計×データ分析×施策への落とし込みという⼀連の流れを体現できたと思います。
- tableauの活⽤理解が及んでいれば、予めPardot側で取得すべき項⽬の設計や命名ができるので、今後はデータ分析の視点をもってMAを運⽤していきたいと強く思いました︕
【アナリスト】
- ローデータを落としてフィルタを⾏えばすぐ⾒られる数値でも、Pardot上ではクイックに出すことが難しく、活⽤にハードルがあるということに改めて気づくことができました。また、今回の活動を通して、マーケティングや営業活動に関するデータへの理解が深まりました。
プロジェクトを経て次にやるべき展望
いかがでしたでしょうか︖私たちは今回のプロジェクトで「着実にリード獲得は伸ばしているものの、パイプライン創出に苦戦している」という課題に対し「商材ごとのターゲットリードの定義を明確にする」「ハウスリストにどのくらいターゲットリードがいるのかを明確にする」という2つのゴールを掲げ、そのゴールに向け5つのアプローチをしてきました。
また、プロジェクト中に様々な壁にぶつかったことによって新たな発⾒も得ることができました。まさに「マーケティング活動はチームで⾏う」であり、複数の役割・⽴場、専⾨的な知⾒を持ったメンバーが集まる事で、異なる視点を持ち合わせたアイデアを⽣み出すことができたと⾔えます。
今後の展望としましては、今回のプロジェクトで可視化されたターゲットに対して、マーケティング施策を企画、実施し、その結果を確認したうえで、今回データ不⾜であった点の改良なども進め、メンテナンスしながら継続活⽤していきたいと思います。
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