アンケートデータ活用できてますか?フリーアンサー(自由記述回答)の活用方法紹介!
更新:2021年6月21日(月)| 公開:2021年6月21日(月)| データ分析
お客様の満足度や、従業員の状況などを知るために、様々なアンケートをとられているかと思います。
中でも自由に記述できるフリーアンサー欄は、アンケート対象者の生の声を聞くことができる重要な項目ですが、分析が難しく手つかずになっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はフリーアンサーの回答を有効活用するための分析方法をご紹介していきます。
アンケート回答形式の種類
一般的にアンケートの回答形式は3種類あり、その回答形式によって分析方法が異なります。
シングルアンサー(SA)
シングルアンサーは複数の選択肢から一つ選択する回答形式です。シングルアンサー形式の設問を「SA」と省略することもあります。
マルチアンサー(MA)
マルチアンサーは複数の選択肢から複数選択できる回答形式です。マルチアンサー形式の設問を「MA」と省略することもあります。
フリーアンサー(FA)
フリーアンサーは回答者が自由に文章を記述できる回答形式です。フリーアンサー形式の設問は「FA」と省略することもあります。
以上3つの回答形式の中で、シングルアンサーとマルチアンサーは選択肢ごとの回答数を数えることで回答者全体の傾向を分析することができますが、フリーアンサーは他の2つと比べて、少し複雑な分析手順が必要です。
フリーアンサーの分析方法
フリーアンサーの回答形式では金額や個数などの「数量」を回答するものと、文章を記述する「言葉」を回答するものの2種類があります。この2つは分析方法が異なります。
数量の分析方法
「数量」で回答する設問の場合は、以下の4つの指標で分析すると回答全体の傾向を正しく理解することができます。
- 平均値:回答結果の平均の数値
- 中央値:数値データを大きさ順で並べた時に、中央に位置する数値
- 標準偏差: データのばらつきの大きさを示す指標
- 最小値、最大値:数値データの中で最も小さい値、最も大きい値
言葉の分析方法
「言葉」で回答する設問を分析したい場合には「アフターコーディング」や「テキストマイニング」を行うと効果的です。
アフターコーディング
アフターコーディングとは自由記述であるフリーアンサー欄からキーワードを拾い出したり、類似の回答をまとめたりしてシングルアンサーなどの選択式の回答に変換する手法です。技術的なハードルが低く分析しやすい方法ですが、一つずつ回答をラベリングするためデータが多い場合にはかなりの工数がかかってしまいます。
テキストマイニング
テキストマイニングとは、文章を単語や文節で区切ったものを、頻度や単語ごとの相関関係を図で示すことでより有用な情報を取り出す手法です。多く使われる単語を大きく表示したり、関連する単語を近くに配置したりすることで、フリーアンサー欄全体の傾向を把握することができます。
今回はこのテキストマイニングを使った、フリーアンサーの分析について詳しくご紹介します。
テキストマイニングに重要な形態素解析とは?
形態素解析とは、普段生活の中で一般的に使っている言葉である「自然言語」を「形態素」にまで分割する技術のことです。形態素は、言葉が意味を持つまとまりの単語の最小単位のことを指します。
形態素解析の例
例のように、分解された単語を辞書などの情報と照らし合わせて品詞の種類や活用形の種類などを割り出していきます。テキストマイニングが出来るツールは数多く存在しますが、今回はこれらの解析を簡単にできるツール「KH Coder」を使って分析していきます。
分析結果の出力方法と活用例
KH Coderを使ったセミナーアンケートの活用例をご説明します。
セミナーに関するアンケートのデータをKH Coderにインポートして、テキストマイニングをしていきます。
使用したデータは個人を特定できないよう処理を行っています。分析結果はKH Coderでも表示させることができますが、CSVファイルにエクスポートしてTableauなどのBIツールに接続し表示させることも可能です。
クラスタリングによる潜在顧客分析
セミナーの参加者にはどのような層がいるか、潜在顧客をクラス分けして表示してみましょう。
KH Coderにはいくつかの分析方法が用意されていますが、今回は「多次元尺度法」という関係性のある言葉を近くに配置する方法で分析していきます。
KH Coderの多次元尺度法で表示されたアウトプットのイメージです。
こちらの出力結果から01のクラスは、「具体」や「参考」といったキーワードがあるため、課題感を持っており、具体的な事例を参考に自社のマーケティングを進めたい参加者だと考えられます。また02のクラスは「途中」や「勉強」といったキーワードがあることから途中参加者を含めた、勉強のために参加した参加者であるといったことが考えられます。このように抽出されたキーワードのセットから、各クラスに分類された参加者がどんな感想を持ったかを考えていきます。
多次元尺度法で案件受注を見込むことのできる潜在顧客の分析を行った結果、01のクラスは事例に興味を持っていて案件化につながる可能性が高いですが、02のクラスは途中参加者や、情報収集など勉強のためにセミナーに参加しているクラスの為、案件化につながる可能性は低いと考えられます。
フリーアンサーに回答していない参加者でも同じようなアンケート結果の方は、同じような感想を持ってくれている可能性があるため、クラスタリング結果とセミナー満足度を組み合わせてセミナー後のフォーローの優先順位付けに活用することもできるのではないでしょうか。
セミナー内容を定性分析
セミナー後のアンケートデータをワードクラウド(出現頻度が高い単語を複数選び出し、その頻度に応じた大きさで図示する手法)の形で表現することで、回答に使用されている単語の出現量が一目で確認でき、セミナー全体の感想を把握することができます。
単語の出現回数に対応して文字のサイズを大きく、品詞によって色分けをして表示しました。ワードクラウドで表示されている中から気になる単語があれば、KH Coderに戻って該当の回答を確認することもできます。
単語から回答の確認
「もう少し」という単語を選択すると、「もう少し」の単語を含む元の回答を表示させることができます。今後のセミナーの内容を改善するポイントとして、活用することができると考えられます。
次に、「説明」という単語を選択すると、セミナーの中で説明をしているパートを参加者がどのように感じたのか、把握することができます。
このように、アンケートのフリーアンサー欄は、回答者の生の声を把握するのに役に立ちます。また、今後の施策の改善ポイントも見えてくるかもしれません。
まとめ
文章の分析は、手順が複雑なため手を付けにくい部分かと思います。今回のコラムがフリーアンサー欄の分析に困っていらっしゃる方の参考になれば幸いです。
またコニカミノルタジャパンではアンケートデータの分析・可視化支援も行っております。アンケートデータの分析にお困りの方は、ぜひ一度コニカミノルタジャパンにご相談ください。
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