アンケート作成のコツ~有益なアンケート回答を得るために必要な設計~【スタッフブログ:第2回】
更新:2020年02月25日(火)| 公開:2020年02月25日(火)| その他
当社デジタルマーケティングのスタッフが活きたノウハウを綴る本シリーズ。おかげさまで大変ご好評をいただいています!
第2回目の今回は、業務で取り扱うことも多い「アンケート」の作成について、要点をご紹介していきます。
設問の考え方からデータ処理の方法、さらに統計の取り扱いについても詳しく解説。
データ集計のポイントはアンケート業務においてだけでなく、幅広く役立つもの。ぜひ、日頃の業務に活かしてみてくださいね。
こんにちは、コニカミノルタジャパンの永井です。
2月から3月にかけては街でチョコレートを見かける機会が多く、自分用についつい買ってしまいます。
どれも美味しくて、幸せな気持ちでいっぱいになります!
さて、第2回のテーマは「アンケート作成のコツ」です。 お客様の声を集めて商品開発に生かしたい。社内の意識調査をして業務に反映させたい。 そんなとき、役に立つのがアンケート調査です。
いざアンケートを作るとなると、考えなければならないことがたくさん出てきます。
ざっくりいうと、次のような内容です。
目次
1.【Why】何のために聞くのか?(ゴール、目標)
アンケートを作るうえで、最初に考えなければいけないのが、ゴール、目標です。セミナーアンケートなら「セミナーからのリード獲得数を向上する」ために「今回のセミナーの満足度・理解度を聞いて、実際のリード獲得数と比較し、次回セミナー内容に反映する」というのがゴールと目標になりますね。
商品アンケートなら「商品を改善して売り上げを向上する」ために「商品の満足度や不満点を聞いて、開発と共有する」という感じかと思います。
アンケートを取った後、どうする、というアクションまで考えるのが、コツです。何のために聞くのかをはっきりさせれば、必要な質問項目が決まってきます。
2.【Who】誰に聞くのか?(ターゲット)
次に、そのアンケートのターゲットを設定しましょう。
セミナーアンケートなら、セミナー参加者全員に聞きたいですよね。
商品アンケートなら、その商品を買ってくれた人全員に聞ければ嬉しいです(が、難しいでしょう)。
全員に聞ける場合と、そうでない場合があるのは当然です。全員に聞くのが難しい場合も、対象者が何人くらいいそうかは押さえておきましょう。後で「アンケート回答数をどれくらい集めればよいか?」につながってくるためです。
3.【What】どんなことを聞くのか?(仮説構築)
いよいよアンケート項目の設計に入っていきます。が、なんとなく思いついた質問を並べてしまいがちなのも、この段階です。
答える人の立場で考えると、長いアンケートは面倒です。回答時間が20分を超えるようなアンケートは、おざなりになってしまいます。
それでも、どうしても答えてほしいときは、インセンティブ(お礼)を用意したり、回答によって質問項目が飛ばせるようにしたりと、いろいろ工夫しなければいけません。
少ない項目でゴールを達成するために、しっかりと仮説を構築し、それにのっとって、本当にするべき質問を絞り込んでいきましょう。
セミナーアンケートならば「セミナーの理解度・満足度が高ければ、リードになってくれる人が増えるだろう」という仮説を立てて、セミナーの内容理解と満足を問う項目を作る形になるでしょう。
商品アンケートならば「商品の満足度を上げ、不満点を改善すれば、売り上げが上がるだろう」という仮説で、商品の各ポイントの満足度を聞いていく項目になるでしょうか。
後のデータ処理を考えると、どんな風に答えてもらうかも詰めたいところです。
基本は、一つの質問に対して一つの回答を求める、シングルアンサー(SA)質問です。「以下の項目から一つを選択してください」という形ですね。
満足度や理解度を数値で聞く質問も、SAの一種です。「本セミナーの全体的な満足度をお聞かせください。1.とても満足、2.満足、3.やや不満、4.とても不満」という形です。
ここで、項目数を奇数にして「どちらでもない」を作ってしまうと、そこに偏ってしまいがちです。満足か不満かをはっきりさせたいときは、項目を偶数個にしましょう。また、「全体満足度・理解度」を聞いてから「個別の満足度・理解度」に移る方が、回答がかたよらないので、おすすめです。
一つの質問に対して複数の回答を求める、マルチアンサー(MA)質問は、「以下の項目からすべてを選択してください。」という形をとります。
MAは、後の処理がちょっとややこしくなります。人によって回答数が異なるため、可視化するときに、ピボットテーブルにする必要が出てくるのです。だから、ここぞというところだけにしたほうが、後で楽です。
回答者の自由な意見を聞く質問を、フリーアンサー(FA)といいます。質問側の思ってもみなかった回答が得られて、有益なものですが、これも量が多くなると分析が大変になります。回答者にも負担が増えるので、1,2個にした方が無難です。テキスト分析で統計的に処理することもできます。
4.【Where】どこで聞くのか?(アンケート形式)
次に考えなければいけないのは、どのようにアンケートを集めるか、ということですね。紙ベースか、WEBアンケートにするかということですが、基本的にはWEBが良いかと思います。印刷コストもありませんし、集計の手間が全然違います。
一方で、WEBアンケートは回答率が低くなりがちです。有効なサンプルになるのは、送付した数の10~15%程度でしょうか。セミナーなどで、その場に机といすがあるなら、紙(やタブレット)で答えてもらった方が、数を集められます。
5.【How】どれくらい集めるのか?(必要回答数)
ここまで決まれば、あとはアンケートをどれくらいの人に配布するかですね。こちらは、統計学的に「これだけ集めればよい」という数値の計算方法があります。
手順通りに進めるだけでOKです!
まず、アンケートのターゲットになる人の数を考えましょう。日本国民全員なら、約1億2千万人(2019年時点)です。日本の現役世代(15~64歳)全員なら約7500万人(2019年時点)。日本の大企業全体がターゲットなら、約1万社(2012年時点)です。
次に、許容誤差を考えます。
例えば、アンケートの回答者の60%が「紅茶が好き」と答えたとしましょう。許容誤差を5%にするなら、実際に紅茶が好きな人は、55%から65%のどこかになるはずです。
一般的な調査では、許容誤差は1%~10%程度に見積もるようです。誤差を少なくしようとすればするほど、必要なサンプル数は増えます。
よほど厳密な経営判断に使うのでなければ、5%で充分です。ざっくりでいいのなら、10%や15%で済ませることもあります。
三番目に、信頼レベルを考えます。信頼レベルとは、アンケート対象者をランダムで選んだ時に、どのくらいの確率で許容誤差範囲内に収まるか?という意味です。
ちょっと難しいですね。例を挙げて説明しましょう。
ターゲットが1万人いるアンケートからランダムに何人か取ってきて、「平均はm%からn%の間である」という計算をしてみます。信頼レベルを95%にするのなら、その計算を100回行った時、本当の(1万人全員の)平均が含まれる回数が95回になるという意味です。計算した平均が本当の(1万人全員の)平均と合致する確率が95%というわけではないのです。
基本的には、90%~99%の間にする数値です。国の調査では95%を採用しているので、一般的な調査は95%にしておけばよいと思います。
ここまでを決定すると、必要なアンケートのサンプル数が分かります。詳しい計算式を知らなくとも、「アンケート サンプルサイズ」で検索すれば、計算できるサイトが出てきます。
目安をお話しすると、アンケート対象者が1万人いるとき、ざっくりとした結果でよいなら50サンプル(許容誤差14%)、一定程度信頼できる結果が欲しいなら100サンプル(許容誤差10%)、精度が必要な調査なら400サンプル(許容誤差5%)くらいです。
ほしいサンプル数が出せたら、あとは回答率で割れば、アンケート送付数が決まります。
回答率10%と考えて、100サンプル集めたいのなら、100÷0.1=1000人に送付すればいいことになります。
アンケート作成について、一通りお話してきました。
アンケートをきちんと設計するのは、結構大変な作業ですよね。場合によっては、督促や再送付といった作業も発生します。アンケートを集めた後も、集めっぱなしにせず、可視化、施策反映とステップを踏んでいって、初めて意味のあるアンケートになります。
もし、アンケート調査の設計、可視化、施策への反映にお困りの方がいらっしゃいましたら、弊社がお手伝いできるかもしれません。
お気軽に、お問い合わせくださいませ。
それではまた、次のブログでお会いしましょう!
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著者プロフィール
コニカミノルタジャパン株式会社
マーケティングサービス統括部
デジタルマーケティング戦略部 データサイエンティスト
永井 睦美
2019年にコニカミノルタジャパンに入社し、データ分析基盤の開発に携わる。
学生時代は、オンラインコミュニティにおける協働の特性について研究。電気通信大学データアントレプレナーフェロープログラム修了。
趣味はサイエンス雑貨集めと、歴史的建造物巡りです。毎朝ストームグラスを眺めて「よくわからん」と唸っています。
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