ヒューリスティック分析とは?
メリットと分析手順を事例とともに紹介!
更新:2022年7月28日(木)| 公開:2021年4月5日(月)| サイト解析
Webサイトを改善するためには、
- ユーザーにとって使いやすいものになっているか
- 競合他社のWebサイトと比べた時に、コンテンツや機能で足りていない部分はないか
といった改善前のWebサイトの状況を調査しておくことが重要です。ヒューリスティック分析はこうしたWebサイトの使いやすさを調査する方法として活用されます。
本記事では、ヒューリスティックという言葉を初めて聞くという方にも分かりやすく、ヒューリスティック分析の手順やメリット、気を付けるポイントを解説していきます。
ヒューリスティック分析とは?
ヒューリスティック分析は、自らの経験・体験を基に、Webサイトやアプリを専門的な観点で分析・評価する手法のことです。
一般的にWebサイトの分析方法は大きく以下の2つに分けることができます。
- 定量的な分析
- 定性的な分析
定量的な分析には、「アクセス解析」が当てはまります。アクセス解析ではWebサイトを訪れたユーザーの数や属性、ユーザーがサイト内でどのような行動をしたかが分かります。しかし、アクセス解析のデータからは、訪れたユーザーの気持ち(Webサイトの使いやすさ、分かりやすさ、ストレス要因など)を調査・把握することは難しいです。
そこで注目されるWebサイトの質を分析する方法(定性的な分析)の一つとして、ヒューリスティック分析が有効な手段となります。
ヒューリスティック分析のメリット
スピーディーにいつでも実施できる
ヒューリスティック分析は、分析するにあたりデータを集めたり、ツールをサイトに仕込んだりという準備が必要ありませんので、分析者のスケジュール次第でいつでも実施が可能です。また、サイトのリニューアル前、制作途中段階、制作後など、どの段階であっても、分析の実施が可能ですので、比較的、実施のハードルが低い分析手法となります。
分析にツールを使わない
ヒューリスティック分析は、分析者が専門的な観点でWebサイトを閲覧することで実施されるため、ツールを使いません。アクセス解析ツールのタグ埋め込みなどの技術的な作業は必要なく、ツールの使い方を学ぶ必要がないので、技術面においてもハードルの低い方法です。
競合他社との比較がしやすい
比較対象のWebサイトを閲覧し、チェック項目に沿って評価するだけで、同じ評価軸で競合サイトとの比較をすることができます。
データからは見えない問題点が分かる
アクセスデータではユーザー数やPV数、直帰率などの数値データを主に分析することができます。しかし、Webサイトの内容がユーザーの望む内容になっているのか、ユーザーが望む情報にたどり着けるような導線やサイト構造になっているかといった「使いやすさ」をアクセスデータから判断するのは至難の業です。加えて、デザインの一貫性やテキストの読みやすさに配慮できているかは、アクセス解析では判断することができません。
Webサイトのデザインを統一させることでサイト内の構造を把握しやすくなりますし、大項目や中項目を適切な文字サイズに、色を分かりやすい色に変更することでユーザーが取得できる情報の量も変わります。
ヒューリスティック分析のメリットはこうしたデータからは見えない問題点を見つけることができるというところにあります。
アクセスデータの理由づけができる
アクセス解析に加えて、ヒューリスティック分析を実施することで、アクセスデータの理由付けができます。
例えば、アクセスデータから読み取れたあまり閲覧されていないページは、なぜ閲覧されていないのか理由を特定する必要があります。アクセスボリュームに対して特定のページの閲覧数が想定されている閲覧数よりも極端に少ないと、ユーザーが求めているページに上手く誘導できていない可能性が考えられます。このようにアクセスデータに根拠付けることができるという点もヒューリスティック分析のメリットの一つです。
また、逆の方法で実施することもあります。ヒューリスティック分析で、サイトの操作性や分かりづらさを感じる部分をアクセデータで確認し、数値の善し悪しで実証することもできます。
自社で実施するとコストが抑えられる
分析を自社で実施するとコストはかかりません。サイトの制作や運用など、何かしらWebサイトの業務に携わった経験値がある担当者が、分析者となり、対象となるWebサイトを操作することによって実施することで、特別に人員の確保やツール等を用意しておく必要はありません。
ただし、この場合はあくまで経験のある分析者が社内にいて、その人が分析を実施できる事が前提となります。
ヒューリスティック分析の手順
ヒューリスティック分析の手順は以下の通りです。
STEP1 分析方針の決定
- Webサイトの目的の明確化
まずはWebサイトの目的・役割を明確にします。
対象とするWebサイトが、企業価値を高めるためのWebサイト(企業サイト)や事業貢献を果たすためのサイト(ビジネスサイト、ECサイトなど)といったサイトの目的によって、評価項目や分析結果も異なるため重要な手順になります。 - 評価項目の検討
Webサイトの目的を定めた後に評価項目の検討を行います。Webサイトの目的に沿って、重点的に調査する項目を検討します。 - 比較対象企業の選定
次に比較対象とする企業を選定します。
比較対象としては競合企業を2社ほど選定し、自社サイトを含めて3サイトで比較・評価を行うことが多いです。競合企業と比較することで自社のサイトの問題点や不足しているコンテンツが把握できます。
また競合企業だけでなく、類似の事業を行う企業や先進的な取り組みをしている企業と比較した方が良い場合もあります。
STEP2 調査作業
評価項目を検討し、比較対象となる競合企業を決定したらヒューリスティック分析を実施します。
ヒューリスティック分析は分析者がWebサイトを閲覧することで実施されます。さらに調査の半ばでレビューを行うことで、調査内容の深堀りや事例の収集など検討項目を追加し、目的に合った分析が出来るように進めていきます。
STEP3 レポーティング
分析結果はレポートにまとめます。
課題部分を指摘するだけでなく、他社の取り組みも参考に、具体的な改善策を考え、次のアクションが起こしやすい形で報告します。
ヒューリスティック分析事例
ヒューリスティック分析ではどのような項目が検討されているのでしょうか。
実際の分析結果を参考にご紹介いたします。
Webサイトのユーザビリティに関する分析レポートです。競合他社3社の比較が行われています。ここではサイト連携や情報構造など6つの軸に沿って分析されています。軸の1つであるサイト連携の軸に注目して、さらに詳しい分析内容を見ていきます。
サイト連携に関する分析結果です。ページ左に現在の問題点、ページ右に参考となるサイトの例を掲載しています。分析レポートから、異なるページで同じ役割を持つページが存在していることが分かりました。また、コンテンツの閲覧性、操作性の面でも問題点が発見されました。このようにしてヒューリスティック分析は検討項目一つ一つに対して調査し、どのように改善すると良いのか考えていきます。
分析する上で気を付けるポイント
ヒューリスティック分析は、分析者の経験や嗜好に大きく左右される可能性があります。よって分析を実施する際は、下の表にある5つの角度を意識して分析を行うことでより客観的に問題点を見つけることができるようになります。
視認性 | デザインや要素の配置に一貫性を持たせた見やすい工夫があるか。(見て分かる) |
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可視性 | 文字の大きさや文字間、行間などを考慮した読みやすい工夫があるか。(読んで分かる) |
操作性 | ページ間の移動や閲覧が容易にできる操作性があるか。(操作しやすい) |
導線 | 必要なコンテンツにたどり着くために、サイト内が分かりやすい導線になっているか。 |
ストレス要素 | サイト訪問者が、快適な情報収集を阻害する要因がないか。 |
また、分析結果を最大限に活用するためには、経験値の高いプロによる分析を検討することも一つの方法です。
まとめ
ヒューリスティック分析を行うことで、Webサイトの問題点を見つけることができ、その問題点を改善することによって、ユーザビリティを向上させることができます。また、使いやすいインターフェイスにすると、PV数・コンバージョン数アップといった数字の成果にもつながります。ブランディングが目的のWebサイトであれば、サイト回遊時間/非直帰率の向上といった目標の達成にも近づくことが出来ます。コストもかからず、比較的手軽に取り掛かれる分析ですので、ぜひ自社のWebサイト改善に試して頂ければと思います。
また、コニカミノルタでは数多くのWebサイト構築・運用のご支援をしてきました経験をもとにヒューリスティック分析のご支援をしております。Webサイトの改善で悩まれているご担当者さまがいらっしゃいましたら、ぜひ一度コニカミノルタにご相談ください。
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Webサイト改善に活用できる、ヒューリスティック分析セルフチェックシートです。サイトの分析評価のチェック項目とその解説をまとめています。
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