Webマーケティングの基本・コンテンツ&アクセス解析編:コニカミノルタのリアルなBtoBマーケ実践ストーリー3
更新:2022年08月29日(月)| 公開:2022年08月29日(月)| Webサイト制作
コニカミノルタのマーケティングサービス事業部のマーケティングチームは2022年の4月で5年目を迎えました。ほんの5年前、ほぼ何もない状態で3名でチームを立ち上げ、3年6ヶ月で創出した総パイプライン(売り上げ見込みの金額)の割合は25.6%UP。チームメンバーも16名になり、成熟期を迎えようとしています。
とはいえ、ここまでの道のりはそうたやすいものではなく、試行錯誤の連続。悩んで、実践して、失敗して、またトライして・・・の繰り返しでここまでやってきました。
私たちのリアルな実践ストーリー第3回目は、Webマーケティングの基本・コンテンツ&アクセス解析編をお届けします。
目次
Section1:Webマーケティングとは
Webマーケティングはマーケティング手法の1つ
「Webマーケティング」とは、その名の通り、Webを中心に行われるマーケティングをいいます。マーケティング=売れる仕組みを作ることで、Webマーケティングはその1つです。
よく似た言葉に「デジタルマーケティング」があります。2つの違いを比べてみます。
Webマーケティング
Webを中心に行われるマーケティング
例)SEO、デジタル広告、メルマガ、SNSなど
デジタルマーケティング
オンラインベースのデジタルテクノロジーを利用して行われるマーケティング
例)IoT、ビックデータ、デジタルサイネージ、MAなど
なんとなくイメージを掴んでいただけましたか?
Webマーケティングが注目されるようになったのは、顧客の購買行動が変化したからです。スマートフォンが急速に普及し、情報を検索したり、欲しいものを探して購入する方法としてオンラインが上位を占めるようになりました。
BtoBでもデジタル・オンライン化が加速している
BtoC領域のみならずBtoB領域においてもデジタル・オンライン化へのシフトが加速しています。製品のリサーチは、先輩や営業からではなくWebでググる。製品絞り込みは、電話や商談で行うのではなく企業サイトや比較サイトで行う。製品の購入も営業担当者経由ではなくECサイトで購入するという時代です。顧客の購買行動が Web中心になっているからこそ、Webマーケティングを実践する必要性が高まっているのです。
Section2:Webマーケにおけるコンテンツの重要性
コンテンツ=顧客の態度変容を促すための重要な情報
Webマーケティングで重要なのは「コンテンツ」です。コンテンツとは、一言で言えば「情報」のこと。映像・音声・文章などすべての情報を含み、コンバージョンポイントで顧客の態度変容を促し、コンバージョンへと導くために大切なものです。
ただし、注意しなければならないのは、コンテンツは単なる情報ではないということ。サイトを訪問した顧客が興味を持って行動を起こすきっかけになるものですから、コンテンツは「顧客の心を動かすもの」でなければなりません。そこで、私たちは「コンテンツ=顧客の態度変容を促すためのもの」と定義しています。
2種類のコンテンツのどちらを作るのかまず考える
では、心を動かすコンテンツとは、どのようなものでしょうか?
まず、コンテンツには2種類あり、それぞれ目的や手段が異なります。
一番の違いは目的です。コンテンツSEOはアクセス数アップ、すなわちWebサイトへの集客を目的とするものですが、コンテンツマーケティングはCV獲得数アップ、すなわちWebサイト訪問者にコンバージョンに繋がる具体的なアクションを促すためのものです。
目的が異なることで、手段や考え方等も異なってきますから、これからコンテンツ制作に取り組む場合は、どちらの目的なのかを最初に明確にしておくことが大切です。
施策は『コンテンツ』と『集客』の両軸で考える
大事なのは、マーケティング施策は『コンテンツ』と『集客』の両軸で考えるということです。コンテンツを作って公開しただけで顧客が自然と流入するということはありません。コンテンツを作った上でさらに、そのコンテンツに顧客を呼び込む施策が必要です。
Section3:具体的なコンテンツの作り方
コンテンツ=自社が伝えたいことではなく顧客が知りたいこと
コンテンツ制作にあたって、私たちは必ず意識していることがあります。それは「自分たちが発信したいこと」ではなく、「顧客が知りたいこと」を発信するということです。
さらに、情報を伝える順番も大事にしています。「興味を持ってもらい→潜在的な課題に気づいてもらう→それが商品やサービスで解決できることを示し→オファーで行動を喚起する」という流れにすると、顧客のアクションを促しやすくなります。
コンテンツは5つの要素で考える
コンテンツが重要とはいえ、ゼロから考えるのはなかなか難しいもの。そのような場合は、誰に(対象)・何のために(目的)・どのようなかたちで(種類)・どんな方法で(手段)・どんな内容で(ネタ)という5つの要素を設定するとコンテンツ制作がスムーズになります。
よくある失敗は、5つのうちの「手段」にだけ注目してしまうことです。対象や目的を明確に定めないまま、動画を作ろう、ウェビナーを開催しよう、SNS広告を出そうという手段だけに注目してしまうと、作って終わり、自分たちが伝えたいことだけを伝えて終わりのコンテンツになりがちです。コンテンツは顧客にこちらが望むアクションを促すもの。ですから常に、誰に(対象)・何のために(目的)を忘れないことが大切です。
コンテンツのネタは意外と身近にあります。営業の方が普段の営業活動で使っている提案資料やメーカー資料などもネタになりますから、営業や開発部門と日頃から連携をとっておくとネタを見つけやすいかもしれません。
まずはペルソナとカスタマージャーニーマップから
「5つの要素から考えるのも少しハードルが高い」という場合は、「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。私たちもコンテンツを制作する際には、この2つをまず設定します。
ペルソナとは、顧客を表す人物像のこと。ターゲットとする人物像を描き、その人物に訴求するメッセージや施策を考えることで、マーケティングの精度を高めることができます。
カスタマージャーニーマップとは、ペルソナが商品・サービスなどの一連のブランド体験を旅に例え、その行動を時系列に可視化したもので、顧客体験の向上やマーケティングアプローチの最適化に役立ちます。
つまり、コンテンツを作る際には、ターゲット顧客がどんな体験や感情を経てコンバージョンに至るのかを見える化するのがポイントです。例えば、「購入する前にこんな不安がありそうだな」とわかったら、その不安を取り除くような情報を入れておくといった工夫をします。
キラーコンテンツを見極めて予算を効果的に投下
効率的なコンテンツ制作をするには、「キラーコンテンツ」に予算やリソースを充てるのがポイントです。
キラーコンテンツとは、顧客の購買行動に大きな影響を与えるようなコンテンツ、コンバージョンにつながりやすいコンテンツを指します。例えば、見積りシミュレーションや導入フロー、操作のデモ画面などは、検討が進んでいる顧客、購買行動まであと一歩という顧客が知りたい情報なので、購買の最後の後押しにつながります。
キラーコンテンツは商談につながりやすいので、キラーコンテンツがまだない場合は、まずここから制作すべきです。
Section4:アクセス解析とは
アクセス解析の4つの目的
制作したコンテンツが本当に顧客の心に届いているのか?を知るために行うのが「アクセス解析」です。
アクセス解析とは、Webサイトにアクセスして来た顧客の属性や行動を分析することです。「どこから来たのか?」「どんな人なのか」「Webサイト内でどんな行動を取っているか?」を解析することでWebサイトの課題解決につなげることができます。
アクセス解析の目的は4つあります。
- 顧客情報の収集・分析
- 施策の効果計測
- Webサイトの問題点の洗い出し
- 目標の設定
アクセス解析を行うと、一見何の問題もなさそうなWebサイトの課題に気づくことができます。「自分で調べてWebサイトに来た人は購入してくれているけれど、広告経由で来た人は何も買わずにすぐ帰ってしまっているようだ」「おすすめの商品になかなかたどり着いていない人がいるのは、サイト内で迷子になっているのかも?」「レジ付近まできたのに帰ってしまう人が多いのはレジが混んでいるから?」というように改善ポイントが明確になります。
Section5:アクセス解析の基本事項
アクセス解析については「指標がわからない」「用語が難しい」という声をよく聞きます。そこで、これからアクセス解析を始めたい方に、アクセス解析の基本をお伝えします。
アクセス解析に使われるツール
当社はGoogle Analytics(GA)有料版とGoogle Tag Manager(GTM)を使用しています。
GA はGoogleが提供するアクセス解析ツールで、ユーザのウェブサイト上の行動データを収集分析できます。無料版と有料版があります。広告やBIツールなど他ツールとの連携も可能で、マーケティング施策全般の効果計測・検証が可能です。
GTMはGoogleが提供するタグの一元管理ツールで、あらゆる計測タグを一括して管理できます。1つのタグをWebサイトに実装するだけで、管理画面を通して複数のタグの実装や管理ができるので、これからWebサイトを新たに立ち上げたり、リニューアルを検討する際は、アクセス解析ツールとタグの一元管理ツールを合わせて導入することをおすすめします。
アクセス解析における一般的な指標
Googleアナリティクスではさまざまな指標を使って解析を行います。はじめて解析に取り組む場合は、ここに挙げた指標と意味をまず理解しておくと安心です。
アクセス解析の基本ステップ
アクセス解析は次のようなステップで計画的に行います。各段階の分析に必要なデータがGoogleアナリティクスの標準設定では取れない場合は、設定をカスタマイズしてデータを収集します。
パラメータについて
アクセス解析においては、ぜひ知っておいてほしい重要なパラメータがあります。
パラメータとは、URLの末尾に付加される「?」から始まる変数、文字列のことです。広告の出稿(Google以外)や流入施策を実施する場合は、Googleアナリティクスに「どこからの流入か?」を認識させるためにリンクや入稿するURLに専用のパラメータを付与します。パラメータを設定することで流入経路がわかり、精緻な分析ができるようになるのでぜひ設定してください。
Section6:コニカミノルタジャパンの実践
当社では営業プロセス改革のプロジェクトの取り組みの一つとして、全社マーケティング組織が立ち上がりました。多岐にわたる事業を展開する中で、その後、事業部門の中にマーケティング組織を立ち上げることになりました。
ただ、立ち上げ当時のマーケティング組織は、営業メンバーがマーケティング業務を兼務しており、人数も3人。そのため、リード獲得方法は、リアルセミナーなどオフラインの施策に頼り切りで、オンライン施策が全くできていませんでした。しかし、特定のマーケティング施策に偏った運用では、変化し続けるお客様のご要望に応えられなくなり、成長が鈍化することは明確でした。
そこで、2019年頃からついにオンライン施策に本格的に取り組みだしたのです。事業のWebサイトリニューアルに着手すると共に、コンテンツを拡充し運用体制を整備。早めに手をつけていたおかげで、コロナ禍でオフライン施策を実行しにくい状況になっても、オンライン施策でうまく補完することができました。今ではオンラインでのコミュニケーションが当たり前になっています。
現在の事業部マーケティングチームは16名体制。メンバー全員が他の業務との兼務で担当しており、優先順位を話し合いながら、コンテンツ制作(コラム、ホワイトペーパー、導入事例、実績、セミナー案内など)、マーケティングオートメーションの運用業務、コンテンツ改善(営業/デリバリー部門の要望対応、アクセス分析による改善施策実施など)等を行っています。
Webマーケティング活動で実施していること
マーケティングチームでは、次のような活動を行っています。
- マーケティング施策のスケジューリングとそれに基づいた施策の実行
- 週次定例会で主要KPI(アクセスデータ軸)やタスクの進捗状況の共有
- アクセス解析によるコンテンツ改善施策の実施
- 各取り組みの成果を定期的に部門内・決裁者へ活動報告
ここに、成果の出るマーケティング活動のポイントがたくさんありますので、具体的にお話しします。
1.マーケティング施策は年間スケジュールを立てた上で柔軟に対処
毎年、期初に年間のマーケティングプランを立てて各施策を実行しています。数字の達成状況やメンバーのリソース状況を見ながら、状況に応じて柔軟に調整しつつ進めています。
コンテンツを「ゼロから生み出す」となると、とても難しいですし、気が重くなってしまいます。元になるネタは、必ず社内に眠っていますし、自分たちにとっての「常識」が、お客さまにとっての「新たな発見」になるパターンはよくあります。メンバーへのインタビュー、既存の営業資料や提案資料、過去登壇したセミナーなど、ありとあらゆる手段でネタを発掘しています。
2.各施策のタスク管理はメンバーで共有しながら実施
各タスクは、担当メンバーと週次の定例会で進捗を確認し、チャットでコミュニケーションを図りながら実行していきます。メンバーが多いので、進捗の遅れやタスクの抜け漏れがないよう、コミュニケーションツールや課題管理ツールを導入し、常にタスクの担当や進捗状況の確認ができるようにしています。
3.週次で主要KPIの進捗状況の共有
Webサイトの運用チームでは、Googleアナリティクスで収集したデータを用いて、週次でKPIの進捗状況の共有を行っています。自分たちが見たい指標だけ効率的に収集できるよう、Googleデータポータル(Google製のデータビジュアライゼーションツール)を活用してレポート化し、まとめて確認できるようにしています。このまま社内の活動報告などにも使えて便利です。
4.アクセス解析による改善施策の実施
アクセス解析でKPIの達成状況を見ながら、数字がおもわしくないところを深掘りして分析し、コンテンツに問題があれば改善施策を行います。問題点が複数見つかった場合は、優先順位をつけて、コンバージョン改善につながるところから手をつけます。施策実施後も正しい施策だったかを判断するために、データで効果を必ず振り返るようにしています。
例えば、こんな実例があります。
ある資料ダウンロードページには一定数のユーザが来ていたものの、ダウンロードの申し込みに至る割合が少なく、コンバージョン率が低いという課題がありました。
そこで、表紙の画像と簡単な資料の説明文しかなかったページをリニューアルし、資料の中身がわかるようなサムネイルを設置したり、資料の目次レベルの内容がわかるような形で見出しを入れたりといった改善を実施。すると、大幅にコンバージョン率が上昇したのです。
こうした取り組みができるのも、きちんとアクセスデータを見て分析をかけ、どこに原因があるのかを見極めて打つべき施策を立てているからです。
5.定期的に部門内・決裁者への活動報告
マーケティング施策の実施がマーケティングチームの独りよがりにならないよう、部門関係者への共有や成果報告も定期的に行っています。例えば、新しいコンテンツを公開したときは、コミュニケーションツールを介して社内に周知し、営業などが商談活動に活かせるようにしています。また、活動の成果もきちんと数字でまとめて部門長へ報告しています。
Webマーケティング活動による成果
試行錯誤しながらさまざまな施策を実行したことで、Webマーケティング活動を本格稼働させる前と後で、Webマーケティングをきっかけに獲得した案件数やパイプラインの創出金額を2.5~3.5倍に成長させることができました。取り扱っている商材の大小はあるものの、パイプラインの金額は億単位の金額で増え続けています。これもしっかり戦略を立てて取り組んだからこその成果。Webマーケティングは、やはり戦略を立てた上で計画的に続けていくことが重要だと感じます。
まとめ
今回の内容をまとめるとこうなります。
01 Webマーケティングは「コンテンツ」がなにより必要であり重要
顧客の課題解決につながる価値あるコンテンツを提供することが何より重要です。自分たちが発信したいことではなく、顧客視点に立ち、顧客が知りたいことをコンテンツとして提供しましょう。
02 特性や特徴を理解し、最適な手段でコンテンツを提供する
メールやホワイトペーパーなど、目的に応じて「手段」を使い分けましょう。一方で、集客施策は別になります。Webサイトにコンテンツをアップしただけではコンバージョンは見込めません。メールや広告、営業活動などと組み合わせましょう。
03 アクセス解析を活用し、施策の効果検証やサイトの健康状態をチェック
Webマーケティングの施策でコンテンツの充実化や集客施策を行う際はきちんと効果検証までをセットで考えましょう。どのような成果が出たのか、またデータから見える課題で次の施策に活かせるものが何かなど、アクセス解析を習慣化しましょう。
Webマーケティングに取り組む上で重要になるのがコンテンツです。ペルソナやカスタマージャーニーマップのフレームワークを活用しながら、ターゲット顧客に適切な形で適切な情報を届けられるようなコンテンツが必要になります。
また、施策はやりっぱなしでは意味がありません。アクセス解析を通じて成果を確認し、データから課題を発見し、次の施策に活かすように習慣化してください。
本コラムでご紹介したコンテンツ・アクセス解析の内容を含めた、BtoBマーケティングでおさえておくべきポイントをまとめた資料もぜひ合わせてご活用ください!
無料e-book ダウンロード
はじめてBtoBマーケティングに触れる方へ マーケティング担当者が知っておくべきこと【前編】
BtoBマーケティングの基礎や、コンテンツやMA、デジタル広告などの各施策、マーケティングにおける目標設定、施策の効果計測方法などについて、解説します。。
関連コラム記事
関連ソリューション
Web&デジタルマーケティングの
お悩みを一緒に解決します!
おすすめのコラム
今後のセミナー開催情報をメルマガにてお送りします