BtoBマーケティングにおける
KPI・KGIの考え方と設定のポイント
公開:2021年9月06日(月)| マーケティング
マーケティング施策を実施する際の評価指標となるKPIは、マーケティングやセールス、その他の関係者で共通のゴールを目指すうえで欠かせません。最終的な目標であるKGIを達成するために、KPIは適切に設定する必要があります。KPIが正しく設定されていないと、施策の振り返りや分析、その後の改善が間違えた方向に進んでしまうためです。
そこで今回は、特にBtoBマーケティングの事業部がKGIを達成させるうえで欠かせない、KPI設定の考え方、ポイントをお伝えします。
目次
マーケティングの指標となるKGI・KPIとは?
KGI・KPIの設定はマーケティングの効果検証を図るうえでも欠かせない指標のひとつです。その違いについて見ていきましょう。
KGIとは?
Key Goal Indicatorの略称で、「重要目標達成指標」と訳されます。取り組みのゴール、目標がこれに当たります。
KPIとは?
Key Performance Indicatorの略称で、「重要業績評価指標」と訳されます。KGI(目標)を達成するために何をするべきかを数値で表したものです。
KPIとKGIの関係性
KPIはKGIを達成させるための中間指標です。
例えば、企業がKGIを今期の売り上げ●●●円とした場合に、KPIは売り上げ●●●円を達成するために必要な案件数●●件や商談数●●件といった数値として表すことができるようになります。数値で目標を設定したら、次にそれを実現するための具体的な施策を検討していきます。
ポイントはKGIを数値で設定することです。KGIが「前年を超える売り上げ」「新商品の販路拡大」など具体的な数値がないものであると、KPIの設定もできず、やるべきことが明確になりません。また、「売り上げ200%UP」「海外20ヵ国進出」などのように数値が明確であっても、現実からかけ離れたKGIではKPI設定が難しくなるため、現実的なKGIであることも重要です。
マーケティングを実施するうえでKPI設定が重要な理由
マーケティングを実施しKGIを達成させるためには、KPI設定を綿密に行う必要があります。その主な理由は次の2点です。
ゴールに至るまでの業務が明確になる
例えば、KGIを「製品100個販売する」とした場合、具体的な施策がなければ、ゴールにたどり着くまでに多くの時間を要してしまうでしょう。そこで、KPIとして「1ヵ月で20個販売する」「1ヵ月の商談数10回を実現させる」などKGIを実現させるための細かい指標の設定を行うと、目指すべきKGIまでのステップが明確になります。KPIの設定を適切に行うことが、KGIというゴールを引き寄せることにつながるのです。
PDCAのサイクルが回しやすい
KGI同様、KPIも基本的に数値で設定してください。数値を用いることにより、成果を具体的に算出することができます。施策の効果検証が数値に基づいたものであれば何が足りないかが明確になり、次に行うべき施策も探しやすくなります。より効率よく、より効果が高い施策を打つためのPDCAサイクルを的確に回すことができるようになるでしょう。
マーケティング施策を企画・実行する際にKPIを設定しないと、実行した施策の効果検証が正しく行えず、改善策を見い出すことが難しくなります。PDCAのC(評価)とA(改善)が不能になり、PDCAを回せなくなってしまうのです。
マーケティング部門におけるKGI・KPIの設定方法
近年、顧客の購買行動の多様化に合わせて分業化が進んでいます。各部門がそれぞれのタスクや個別のKPI達成に注力してしまい、全体を俯瞰で見ることが難しくなっています。しかし、企業全体の目標は「売上・利益の創出」です。マーケティング部門が目標を設定する際には、営業部門と連携し共通のゴールとなるKGIを設定することが重要です。最終的な事業貢献を見据えた目標設定をしておかないと、商談数は一定量提供できているが、まったく受注につながっていないといった事態が起こってしまいます。
マーケティングKGIの持ち方のポイント
マーケティングの仕組みを導入したばかりの初期段階では、マーケティング部門側で取り回しが行いやすい、リードからどれだけのアポイントを獲得できたかという「アポイント獲得数」をマーケティング部門のKGIに設定するとよいでしょう。
組織が習熟してきた中期では、獲得したアポイントからどれだけ具体的な商談に持ち込めたかという「有効商談数」をKGIに設定するのがよいでしょう。ここでは、マーケティング部門と営業部門で「有効商談」の定義とその数値について合意する必要があります。営業部門としっかりした情報共有を行いつつ連携を図りましょう。
後期は、営業部門とも連携したうえで、「商談見込み金額(パイプライン)」をKGIに設定することをおすすめします。商談見込み金額とは、「有効商談数」に「単価」を掛けたものです。マーケティング部門では、コントロール可能な「有効商談数」をメインに追いかけていきましょう。営業部門による「商談見込み金額」の進捗を常に注視しつつ、「有効商談数」を積み上げていきます。
なお、目標のパイプラインを設定する際は、営業部門の目標売り上げに満たない部分のうち、〇%の創出をマーケティング部門が負担するという考え方で設定すると、関係部門とも目線を合わせやすいでしょう。具体的なパーセンテージをもとにマーケティング部門のKGIを設定してください。
それぞれのフェーズに応じて、KGI達成のために必要な数値を KPIとして設定していきます。
マーケティング部門で設定したKGIを達成させるためのポイント
マーケティング部門でKGIを達成するためにはいくつかの点に注意する必要があります。そのなかでもポイントとなるのは次の2点です。
個別KPIの最適化に注力しすぎない
フェーズごとにKPIを設定し、それぞれを達成するために行動すること自体は悪くありません。ただし、それだけに注力してしまうとかえって悪い結果になってしまう場合があります。
例えば、初期段階で「アポイント獲得数」に注力するあまり、手当たり次第にアプローチをかけてしまうと、確度の低いアポイントが増加。その後の営業工数が肥大化してしまい、全体として非効率的になってしまうことがあります。
また、時間をかけて最適なタイミングでアプローチをすれば、アポイント獲得に結びついていたかもしれない顧客を、強引なアプローチが原因で手放す結果になってしまう可能性もあるでしょう。全体を俯瞰したKGI、KPI設計を重視し、それを踏まえた行動が欠かせません。
営業部門との連携・情報共有を欠かさない
KGIを達成させるためには、営業部門と連携した双方向の情報共有が必須です。MAツールや営業管理ツールなどを使った密接なコミュニケーションにより、「課題点の共有」「進捗状況の報告」「商談結果のフィードバック」などを欠かさないようにし、常に共通のゴール達成を意識した連携が成果につながります。
マーケティング部門のKGI・KPI実現には営業部門との連携が重要
従来のように営業部門だけでセールスを完結させることが難しくなった今、マーケティング部門が売り上げ目標の達成において重要な役割を果たすようになりました。
セールスの役割を分担したからこそ、マーケティング部門と営業部門の連携なくして目標達成はあり得ません。そのため、マーケティング部門でKPIを設定する際にも、必ず営業部門と最終的なKGIを共有し、それに合わせた設定を行いましょう。
マーケと営業の連携を促進するポイントとして、マーケティング活動のなかに、営業部門の社員を巻き込むことがおすすめです。調整役として、どちらにも意見を言える人材をマーケティング活動の態勢に組み入れ、常に現在の立ち位置を確認しながら進めていくことが、KPI、KGI達成のポイントと言えるでしょう。
BtoBマーケティングのKPI・KGI設定について、より詳しい情報をお探しの際は、「はじめてBtoBマーケティングに触れる方へ マーケティング担当者が知っておくべきこと」をご参照ください。
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