ここから始めるDX~データ活用最初の一歩~
更新:2020年11月19日(木)| 公開:2020年11月19日(木)| DX推進
こんにちは。コニカミノルタジャパン データサイエンティストの永井です。
あっという間に肌寒い季節になりましたね。
私はこたつから出られなくなってきました。
コロナの終息がなかなか見えない昨今、対面でのやり取りが制限され、デジタル化を推進せざるを得ない企業の方も多いのではないでしょうか。
DX、データドリブン型経営…と言っても、キーワードとしてはよく聞くもののいったい何から手を付けていいか分からないといったお悩みをよくお聞きします。そこで今回のコラムでは、手持ちのデータで何ができるのか分からない。そのような企業のご担当者様に向けて、よくあるケースを元にまずは(きっと)お手元にあるデータでこんなことができます!というお話をさせていただきます。
目次
ケース1:オフラインの顧客情報しかありません
例えば、「Web広告のようなWeb上での施策を始めたい」と思った時に、オフラインの顧客情報とWebのアクセスデータはあっても、この二つが結びついていないといったケースです。Web上で何か施策を行うとしても、肝心の顧客情報をオフラインでしか所有していないため「誰に対してどんな広告を配信すればよいのかわからない」と悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、まず貴社のお客様はどのような方が多いのか考えてみるところから始めましょう。
オフラインで所有している会員情報から、年齢、性別、お住まいの地域、1会計あたりの平均購買金額などを可視化してみましょう。そこから、「自社のお客様にはこんな人が多い」というペルソナ(主な顧客像)が見えてくると思います。
Web広告の出稿先は、このペルソナに即したところを選ぶことが重要です。例えば、女性のお客様が多いケースならば、女性がよく見ているメディアに出稿する必要があります。顧客像を理解していなければ、せっかくの広告が無駄打ちになる危険性もあります。
今あるデータを分析することで、これまでの経験や勘から想定していたものとは異なる、新たに開拓すべき顧客層が見えてくることもあります。
データがないとあきらめる前に、お手元にあるデータを棚卸して、できることから始めてみましょう。
それが、データ活用を推進する初めの一歩になります。
ケース2:顧客の個人データがありません
業態により、顧客の個人情報を取得していない。といったケースも考えられますが、顧客ひとりひとりの個人データがなくても、別の切り口からデータを収集・分析することも可能です。
小売業の業務改善を例に考えてみます。毎時、何人のお客様が来店・退店されるか計測することで、データを収集してみましょう。スタッフの誰かがカウントするか、POSデータから推計する方法ならば、取り組みやすいのではないでしょうか。AIエンジン搭載のネットワークカメラを使えば、属性データ(男女・年代など)を推定してカウントすることもできます。
お客様の入り時間と滞在時間が分かれば、スタッフの人数と配置する時間帯を最適化し、リソースの効率化を図ることができます。お客様の待ち時間も減少でき、時間帯別の需要予測も考えられますね。
お客様の年齢や性別などの属性データも取ることができれば、時間帯によってお客様の嗜好に合った商品を出しわけるといった施策で、購買機会の向上を狙うこともできます。
お客様の来店にかかわる要素は、時間帯だけでなく、季節や天候、平日・休日、イベントごとなど、さまざまな要因が考えられるので、データは継続的に取る必要があります。まずはPoC(=Proof of Concept:概念実証)から始めてみるのもよいでしょう。
ケース3:紙のデータしかありません
重要なデータはほとんど紙ベースで保存している。量が多すぎて、もはや手入力も追いつかずそもそもデータが使える形になっていない。といったケースです。そんな場合も、分析をあきらめなくて大丈夫です。お手持ちの複合機の連続スキャンでデータを画像化し、テキスト変換ツール(Googleドキュメント等にあります)で文字を抽出すると、手入力よりも効率的にデータを電子化することができます。
また、社内にどんなデータがあるかをリストアップしてみると、これまで埋もれていた有益なデータの存在に気が付くことはよくあります。まずは、データの棚卸から始めてみてはいかがでしょうか。
ケース4:いいお客さんって誰だろう?
自社の顧客のうち、どのようなお客様がロイヤルカスタマーと言えるでしょうか。
購入回数が多くても、低額商品ばかりで購入額のボリュームが少ないお客様もいるでしょう。購入額のボリュームが多くても、割引商品ばかりで利益に繋がらないお客様もいるでしょう。売上を重視するのか、利益を重視するのか、購入回数を重視するのかなど、その時の企業の状況や戦略によってロイヤルカスタマーの定義は異なってきます。
データをもとにロイヤルカスタマーを定義する際、気を付けたいことについて次回のコラムで解説いたします。
ケース5:DXって、どうやって進めればいいの?
いざ、DX!と社内で号令がかかっても、何から始めればいいのか、どんな体制で進めればいいのか、分からないことだらけだと思います。これまでお話してきたようなデータについての考え方や知識はもちろんですが、社内の体制づくりや理解を促すことなども成功するDX推進には欠かせないポイントです。
私が社内で初めて業務データを可視化したときも、事業部側が見たい数字を形にするのに、ずいぶん苦労しました。当時の(私の)試行錯誤について、今後のコラムで解説いたします。
ケース6:手持ちのデータじゃ足りません
知りたいことがあるけれど、自社にあるデータだけではわからない。新しくデータを取るには時間とコストがかかる。そんなお悩みをお客様からいただくこともあります。
実は、政府機関などが調査したデータの一部は、オープンソースデータとして公開されています。例えば、e-Statからは、地域別の年代、世帯数、世帯収入の平均など、商圏分析に使える情報を様々取得することができますので、自社で活用できそうなデータがないかチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:データ活用のイメージを持つことから始めましょう
DXやデータ活用の推進には、データの取得や取り扱い、社内体制の構築など様々な課題があり難易度が高く感じてしまうこともあるかと思います。まずはスモールスタートを目指して、現在持っているデータを棚卸した上でどんなことができそうかとイメージしてみることが第一歩です。
今後もDXをテーマにしたコラムを連載してまいりますので、ぜひ皆様のデータ活用にお役立ていただけましたら幸いです。どうぞお付き合いくださいませ。
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著者プロフィール
コニカミノルタジャパン株式会社
マーケティングサービス事業統括部
データサイエンティスト
永井 睦美
2019年にコニカミノルタジャパンに入社し、データ分析基盤の開発に携わる。
学生時代は、オンラインコミュニティにおける協働の特性について研究。電気通信大学データアントレプレナーフェロープログラム修了。
趣味はサイエンス雑貨集めと、歴史的建造物巡りです。毎朝ストームグラスを眺めて「よくわからん」と唸っています。
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