駐車場・工場の出入口の安全を守るAIカメラと回転灯の活用法
AIは、仕事現場や暮らしをよりよくするだけでなく、わたしたちの安全も守ってくれています。駐車場や、トラックの出入りが多い工場などの施設では、車両の出入口付近の安全確保も大きな課題となります。
駐車場の利用者や工場の作業員だけでなく、周辺地域の人々に配慮することも欠かせません。従来の方法では出入口にループコイルを使用したセンサーを取り付けるのが一般的でしたが、建設から長い年月が経過した施設ではループコイルの地中への埋め込みが難しい場合もあり、可能な場合でも大規模な工事が必要となるデメリットがあります。こうした課題解決に役立つのが、エッジAIカメラです。
この記事では、AIカメラの概要から、駐車場や工場の出入口で活躍するエッジAIカメラ、回転灯などとの併用によって役立つ仕組みについて解説します。駐車場や工場の出入口の安全確保にお悩みの担当者さまはぜひご参考ください。
AIカメラの種類と活用の仕組み
AIカメラは、カメラで撮影した映像や画像のデータを人工知能によって分析することができます。従来のネットワークカメラには、映像や画像を記録し、ネットワークを使用して遠隔地でもリアルタイムで確認できるといった特徴がありますが、分析をする際は人による目視確認などが必要でした。従来のネットワークカメラと比較してAIカメラは、撮影した情報をAIによって自動で分析できるところが強みです。映像や画像の確認や分析をAIに任せられるため、業務効率化にも役立ちます。
エッジ型とサーバー型(オンプレ・クラウド)の違い
AIカメラには、エッジ型とサーバー型の種類があり、用途によって使い分けることも必要です。下記では、それぞれのメリットとデメリットをまとめましたので今一度ご確認ください。
AIカメラの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
エッジAIカメラ(カメラ側でAI処理を行う) | ・機器本体でAI処理が可能 ・AI処理の際にクラウドとデータのやり取りがないため、処理速度が速い ・送信する情報が限定的なため、情報漏洩のリスクがサーバー型と比べて少なく、セキュリティ面に強い |
・大規模や複雑なデータ処理が難しい ・端末によってメンテナンス等の管理が必要 ・カメラとAIが一体化しているため部分的な交換やカスタマイズ等ができない |
サーバー型のAIカメラ(オンプレ・クラウド) | ・カメラ本体 にAIが搭載されていないためサイズがコンパクトな場合が多い ・既設のカメラの流用が可能 ・大規模や複雑なデータ分析が可能で、カメラ機器本体に負担を与えにくい |
・カメラとクラウド間でAI処理が可能な映像データを安定的に提供可能なネットワーク環境が必要 ・サーバーとのデータのやり取りにより、分析に時間がかかる ・クラウド型の場合、全ての情報をインターネット経由でやり取りするため情報漏洩のリスクがある |
AIカメラの分析と活用事例

AIカメラは、人の情報を捉えて、登録した人の顔や、関節などを元にした姿勢など、高度な分析が可能です。車や動物、製品などの特定の物体や、指定した領域を識別できることもAIカメラの特徴です。ほかにも、文字やバーコード、パターンなどの分析により、さまざまな分野で活用されています。例えば、AIカメラの顔認証機能を勤怠管理に役立てたり、工場の製品製造時の異物混入を防いだり、人の異常な行動を識別し店舗での万引きを防止したりすることができます。
駐車場や工場の安全対策
駐車場や工場の出入口もAIカメラの活躍場所の一つです。駐車場内や出入口付近では車と人の動線が混在しており、危険が伴う場所でありながらも一般道路における緊張が緩みやすく、幅が狭い・見通しが悪い・多数の死角があるなどの個々の駐車場の環境も関係し事故が起きやすい場所です。

駐車場の出入口付近に停車しようとして駐車車両に接触したり、駐車場から出ようとした際に駐車場内で停車しようとした車と衝突したり、出た先の道路で走行車と衝突したりすることもあります。駐車場の出入口は、交差点や横断歩道など設置してはいけない場所の基準が法律で定められていますが、あらかじめ安全面に配慮された場所であっても事故が起きやすいため、より一層気を付ける必要があるでしょう。
また、工場は、出入りするトラックや、走行するフォークリフトや作業員との事故が起きやすい環境です。工場の敷地内の環境にあまり詳しくない来客もいるため、工場内や付近での接触事故に注意が必要です。
こうした事故を防ぐには、車のミラーやモニターだけに頼らず目視確認を行うなど、ヒューマンエラーをできる限り防ぐとともに、AI機能を活用することが役立ちます。例えば、AIカメラを設置し、注意が必要な場面でブザーや回転灯によって周囲に知らせることで接触事故の予防になるでしょう。AIカメラでは映像が記録されているため、万が一事故が起きた際に状況を確認できることもメリットです。また、安全対策の面では接触事故に限らず、不審車両や不審人物の侵入や犯罪防止にも役立ちます。
駐車場や工場の出入口で活躍するエッジAIカメラ

駐車場や工場の出入口では、1時間に何十台もの車両が入退場することもあり、周辺地域の安全確保が必須です。このような場所の安全対策にAIカメラを設置するときは、危険に備えて即時にAI処理できるカメラが必要になるでしょう。クラウドAIカメラの場合、通信環境の影響を受けることやタイムラグが発生する可能性もあるため、AI処理環境が安定していてリアルタイムで分析できるエッジAIカメラの利用がおすすめです。
駐車場や工場の出入口における安全対策の課題
駐車場や工場の出入口の安全対策には、AIカメラだけでなく、センサーを用いた方法もあります。この場合でも回転灯を併用した警告などを行うことができますが、設置方法にやや難点があり課題となっています。一般的な方法としてよく知られているのがループコイルを使用した方法ですが、車両の金属に反応するため、路面が金属の駐車場のように取り付け場所が難しいケースがあります。さらに、埋没工事のため地面をカッターで切断するなどの大掛かりな作業となり、一度埋め込んでもメンテナンスや撤去の際には再び大規模な工事が必要です。そのため、ループコイルに代わる、埋没不要で設置できるものが注目されています
設置の課題解決に役立つエッジAIカメラ
エッジAIカメラもまた、こうしたループコイルによるデメリットの解決に役立つ方法です。駐車場に設置するのはカメラと回転灯などの警報装置のみのため、大掛かりな工事も必要ありません。また、機器が故障した場合でもカメラの交換のみで解決するため、コストと復旧までの時間の削減に役立ちます。
エッジAIカメラやシステムの選び方
さまざまな分析ができるエッジAIカメラですが、選ぶ際には用途に合うものを選ぶことがポイントです。製品によって機能は異なるため、利用の目的を明確にしてから、必要な機能とともにより適したカメラを選びましょう。導入においては、コスト面の比較も外せません。エッジAIカメラはサーバー型のAIカメラと比較して初期費用がかかりやすい難点がありますが、長期的に見るとコスト削減につながることが期待できます。
また、エッジAIカメラを利用した駐車場向けのシステムもさまざまに提供されています。これらのシステムの利用も業務効率化に役立つでしょう。システムを利用する場合も、目的に合うサービスを検討しながら選んでみてください。
エッジAIカメラと回転灯を活用した簡易設置可能なシステム
コニカミノルタには、エッジAIカメラを活用した「出庫警報システム」があります。簡単に設置できるエッジAIカメラのMOBOTIXを使い、カメラ一台で周辺地域の安全対策ができるシステムです。見通しの悪い出入口で何十台もの車両が出入りし周辺の安全対策に不安があるときや、ループコイルの埋没工事が難しい場合などに、ぜひご検討ください。

MOBOTIXによる「出庫警報システム」は、エッジAIカメラと回転灯を組み合わせたシステムです。回転灯と組み合わせることで、敷地内外への車両侵入を周辺にわかりやすくお知らせすることができます。工場内へ出入りする車両と歩行者との接触事故の防止に効果的で、地域の皆様や取引業者様、従業員の安心安全の見守りに活用されています。
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