データレイクとは?
データ活用から得られる効果の最大化と作業負担の削減
更新:2022年02月14日(月)| 公開:2022年02月14日(月)| データ解析
ビジネスにおいて、データを活用することはスタンダードになったと言えるでしょう。従来の経験や勘頼みから脱し、データから今後のアクションを導くことが、ビジネス全般の推進に効果的であることが浸透しています。実際、データを活用することで、ターゲット選定の精度の向上、ソーシャルメディアにおけるメッセージの最適化、人材の最適配置等を叶え、ビジネスを拡大・回復させた事例は多数あります。
しかし、データの収集方法や分析・解析のスキル・プロセス等は注目されるものの、見落としがちなのがデータの“管理”です。データとひと口にいっても多種・多様なものがあります。必要なときに必要なデータをピックアップできるように、効率的かつセキュリティが担保された管理体制を整備することが求められます。そこで、利用を検討いただきたいのがデータレイクです。多種・多様なデータを一元管理でき、作業負担も軽減できるデータレイクについて解説していきます。
データレイクとは?
データレイクというキーワードを最近耳にする機会も多くなりましたが、正確に意味を把握している方は少ないのではないでしょうか。データレイクとは、端的にいえば多種・多様なデータのリポジトリ(格納場所)のことです。
データの格納先は、格納できる種類とデータの量から検討していきます。データには構造化データ、半構造化データ、非構造化データとさまざまな種類がありますが、十分な量を確保できる格納場所でも、格納できる種類が制限される場合には管理の効率性は低下します。
いわゆるビッグデータといわれるデータ群は量が多いだけではなく、種類も多様であることがほとんどです。そのため、ビッグデータの管理には多量かつ多種のデータを格納できる場所が必要です。そこで効果的なのがデータレイクです。データの種類を問わず格納できるので作業の負担を軽減できます。
また、データ活用の失敗例として、データを整理する際に必要なデータを破棄してしまうケースがあります。現在は必要なくとも、将来的に必要となるデータは少なくありません。データレイクならば多種多様なデータを保管しておけるので、破棄する機会そのものが少なく、重要なデータを誤って破棄してしまうリスクを減らすことができます。
さらにデータレイクは、種類を問わず大量に情報を格納できる特性から、データの成形作業にかかる負担を軽減できる利点もあります。
データウェアハウスとの違い
データの格納場所を大別すると、データレイクとデータウェアハウスに分けられます。データを格納して管理するという点では共通しており混同されがちですが、これらには明確な違いがあります。違いを考慮し、自社に最適なアプローチを行うことが大切です。
データウェアハウスは、アプリケーションやデータベースに保管された構造化データを収集し、何らかの目的別に定義された形に統合・格納して、分析業務で利用するためのデータリポジトリです。例としては、トランザクションシステム、業務データベース、基幹業務アプリケーションからのリレーショナルデータがあります
一方のデータレイクは、素の状態のままデータを蓄積でき、データを使用する際に成形します。したがって、リレーショナルデータだけではなく、IoTデバイス、Webサイト、モバイルアプリケーション、ソーシャルメディアや企業アプリケーションからの非リレーショナルデータも保管できます。データレイクであれば、構造化データに成形する必要がない、つまり用途が決まっていない状態でも格納しておけることから、IT技術者の作業を通さずにデータを取り扱うことができます。
データレイクを活用するポイント
データレイクは素の状態のデータをそのまま保存できるため、使い勝手に優れています。しかし、管理方針を定めずに運用してしまうと、データレイクのメリットを最大限に活かすことができません。データレイクを効果的に活用するためのポイントを見ていきましょう。
データの混乱状態を避ける
データレイクには多様なデータを格納できますが、考えなしにとりあえず格納していると、データレイク内が混乱状態になってしまいます。蓄積方法や管理方法を事前に定めておかないと、そのデータはどのような用途に使えるのか、そもそもどのようなデータが入っているのかなどが把握できなくなり、せっかくのデータが活用できなくなります。
混乱状態を避けるためには、データの出所、関連する場所や部署、顧客、所有者等の基本情報を押さえることが重要です。このようなメタデータを保管しておくことで、データを検索する際のスピードが格段に上がります。
つまり、データの保管を効率化するためには、アウトプットのしやすさを考慮することが大切だということです。
データの信頼性を維持する
データを活用しやすくするためには、データの信頼性が重要です。データそのものに不備があると分析の精度が低下します。データの不備とは、例えば金額に半角と全角の数字が混在していたり、税込みと税抜きが分かれていなかったり、日付に西暦と和暦が混在していたりすることなどが挙げられます。
データレイクには何でも格納できるため、信頼性の維持を忘れがちです。定期的にデータクレンジングを実施して、データを“使える状態”に維持しましょう。
データクレンジングについては「データクレンジングとは?データクレンジングの意味と方法を徹底解説」をご覧ください。
分析の専門家を利用する
データウェアハウスは決まった形でデータを格納する、つまり用途や目的を定めているので、ITの専門家以外の方でも扱いやすいメリットがあります。しかし、データレイクは多様なデータが格納されているため、分析に一定のスキルが必要になります。自社で専門家を育てる、社外に業務委託するなどして、データが効率的に保管されているだけにとどまらず、積極的に活用できる状態に持っていきましょう。
AIツールの活用
データレイクに保存されるデータの種類は、多様で膨大な量になります。このようなデータをすべて人力で処理することは現実的ではありません。そこで活用したいのがAIツールです。近年のAIツールは単純にデータを整理・可視化するだけでなく、データ活用のなかで最も大切なフェーズである洞察による知見の抽出までをカバーできます。ツールを利用するので作業が自動化されやすく、業務効率化にも大きく寄与します。
有名なデータレイクのツールに、Amazon社が提供している「AWS」の分析サービスがあります。AWSでは、ビッグデータの自動処理、ロボット工学、データベースを構築した機械学習など、さまざまなタイプの分析を実行し、意思決定に役立てることが可能です。
データレイクを活用した事例
データレイクの運用と活用方法をイメージしていただくために、データレイクを利用して成果をあげた事例をご紹介します。
経営データの一元管理(大手OA機器メーカー)
プリンターやカメラをはじめとした各種ソリューションを提供する株式会社リコーでは、経営データが各事業部に散在しており、部門を横断した情報共有が困難であるという経営課題を抱えていました。情報共有の分断は部門間の分断につながる可能性があるため、経営データの一元管理が急務となっていたそうです。そこで導入したのが、データレイク型のストレージサービス「Amazon S3」です。部門間に散在する情報を統合して一元管理し、多量のデータを集約化して分析できるデータベースを構築しました。こうしてデータを見える化したことで情報共有が進み、部門間での連携作業の強化による業務効率化、意思決定の迅速化が実現しました。
データレイクは多種多様なデータを格納できる利点があるので、このように部門間の種類の異なるデータを一元的に管理できるようになります。
精度の高い需要予測(大手素材メーカー)
「ガラス」「電子」「化学品」「セラミックス」の分野で新しい価値を創造し続けるAGC株式会社の事例です。事業におけるあらゆる意思決定がデータの活用に基づくことをテーマに、同社ではデータドリブン経営を追求しています。その一環として、AWSを活用してクラウド上にデータレイクを用意し、全社共通のデータ活用基盤を構築。すべてのデータを集約させることで、新たな知見を抽出し、精度の高い需要予測や市場予測を可能としました。さらに、アジャイル開発や生産ラインの効率化、経営貢献への意識改革にも成功したそうです。
マーケティング、営業、開発と各部門にデータが散在し、別部門はその存在すら知らないというケースが往々にしてあります。それでは、データ分析の精度は高まりません。データレイクによるデータ集約がデータ活用の成果を高めるという良い事例です。
データレイクをマーケティング活動に取り入れてみよう
データ活用において、保持データの整備と管理は欠かせないプロセスです。データレイクは自社で保有する多種多様なデータを一元管理し、データ活用の作業負担の軽減と成果を高めることができます。データは大量にあるものの、管理や活用方法にお悩みならば、まずはデータレイクの導入でお持ちのデータを一元管理することから始めてみませんか?
データレイクの導入、またデータ活用によって、マーケティング活動の効果を最大化していきましょう!
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