【連載コラム(全四回)】 デジタルマーケティングで失敗しない為に知っておくべきこと・検討すべきこと 「第三回目」
更新:2017年3月31日(金)| 公開:2017年3月31日(金)| その他
「今からデジタルマーケティングに取り組もうと考えているが、失敗したくない!」
「既にデジタルマーケティングに取り組んでいるが、思うような成果を出せず困ってる…」
本記事は、そのようなお考えをお持ちの方々(特に、BtoBビジネスをされている方々)を対象として掲載している、全四回の連載コラムの第三回目となります。
(過去二回の記事は、下記よりご覧頂けます。
第一回目:何故、今デジタルマーケティングを始めなければいけないのか?
第二回目:何故、デジタルマーケティングで失敗してしまうのか?
まだ、読まれていない方は是非、読んでみて下さい。)
こんにちは。
コニカミノルタジャパン株式会社 デジタルマーケティング統括部 Web営業部の宮下 智成です。
前回(第二回目)のコラムにおいて、「デジタルマーケティングの失敗3大要因」を下記の通り挙げさせて頂きました。
- 訴求すべき顧客が、具体的に定義されていない
- 訴求すべきバリュープロポジションやUSPが、洗い出せていない
- 社内規定や組織の壁に阻まれてしまう
※ USP:Unique Selling Proposition の略
今回(第三回目)のコラムでは、「デジタルマーケティングで失敗しない為に検討すべき3つのこと」について書かせて頂きますが、検討すべき3つのことは、もちろん「失敗3大要因」を取り除く為に実施する下記の3つとなります。
- 訴求すべき顧客を、具体的に定義する
- 訴求すべきバリュープロポジションやUSPを洗い出す
- 社内規定の有無や組織の壁の存在を調べ、対処方法を考える
「失敗3大要因」を取り除く為に、上記3つのことをどのように検討すれば良いのか?順番にご紹介させて頂きます。
(1)訴求すべき顧客を、具体的に定義する
まず、「訴求すべき顧客を、具体的に定義する」目的は、「顧客に優先順位を付けて、効果的なデジタルマーケティング施策を実行する為」となります。
この目的に対して、「いやいや、全ての顧客が大切だよ」、「顧客に優劣など付けれない」と思われる方もいるかもしれませんが、あくまで「デジタルマーケティング施策を実行する上での顧客の優先順位」であり、企業にとっての顧客の重要度ではありません。
もし、デジタルマーケティング施策を実行する為の、「人・時間・お金」というリソースが無限に(潤沢に)あるのであれば、「全ての顧客に対して、施策を実行」できるかもしれませんが、現実的には「人・時間・お金」というリソースは限られており、(というより「リソース不足で困っている」という声を圧倒的に多くお聞きしており、)限られたリソースをどの顧客に対して優先的に投資するか判断する必要があります。
そして、「訴求すべき顧客を、具体的に定義する」=「施策対象となる顧客に優先順位を付ける」為には、デジタルマーケティング施策を実行する目的を明確にした上で、顧客を掘り下げて行く必要があります。
一例を示しますと、
- デジタルマーケティング施策の目的は、「新規顧客の獲得」か?「既存顧客の囲い込み」か?
- 目的が「新規顧客の獲得」の場合、「新規の販売代理店」か?「新規のエンドユーザー」か?
- 「新規のエンドユーザー」の場合、「開発者」か?「購買担当者」か?「メンテナンス担当者」か?
- 「開発者」の場合、開発者が在籍するのは「大企業」か?「中小企業」か?
- 「大企業の開発者」の場合、開発者の立場は「責任者」か?「担当者」か?
ということを、一つ一つ確認していきます。
「顧客」という言葉は非常に多くのニュアンスを含む曖昧な言葉であり、所属部門が異なれば想像している顧客像が異なることが多々見受けられますので、部門間を超えて「訴求すべき顧客」の認識を合わせることが非常に重要となります。
(2)訴求すべきバリュープロポジションやUSPを洗い出す
(1)において、「訴求すべき顧客」を明確にしてはじめて、「訴求すべきバリュープロポジションやUSPを洗い出す」ことができます。
何故ならば、「新規顧客」と「既存顧客」、「販売代理店」と「エンドユーザー」、「開発者」と「購買担当者」と「メンテナンス担当者」、「大企業」に所属する担当者と「中小企業」に所属する担当者、「責任者」と「担当者」では、「業務上でのミッション」や「業務上で困っていること(解決すべき課題)」が異なり、それに付随して「必要としている情報」も異なってくるからです。
それでは、どのように「訴求すべきバリュープロポジションを洗い出すか」ですが、バリュープロポジションすなわち、「訴求すべき顧客に対して、企業としてどのような価値を提案できるか」は、訴求すべき顧客の業務上のミッションを明確にした上で、顧客の業務を掘り下げて行く必要があります。
例えば、
- 訴求すべき顧客の業務上のミッションは何か?「開発」か?「調達」か?「メンテナンス」か?
- ミッションを踏まえた上で、どのような業務を行っており、どのようなことで困っているのか?
- 解決すべき課題はどのようなことで、解決すべき課題の優先順位はどうなっているのか?
ということを、一つ一つ確認しますが、顧客の業務を掘り下げて行く上でも、部門間を超えて認識を合わせることが必要であり、特に訴求すべき顧客と「直接接点がある現場の声」を抑えておくことが重要となります。
訴求すべき顧客の業務上のミッションや、業務上の課題が明確になれば、
- 業務上のミッションを達成する為に、企業としてどのような価値を提案できるか?
- 業務上で困っていること(課題)を、企業としてどのように解決できるのか?
を検討することができます。
そして、訴求すべき顧客に対して、企業として提案できる「価値」や「解決策」において、USP(Unique Selling Proposition)すなわち、「自社でしかできない提案は何か」ということを洗い出します。
具体的には、
- 自社でしか製造できない製品か?自社でしか提供できないサービスか?
- その商品やサービスはジャンルトップシェアなのか? 実績が一番多いのか?
- 競合他社には無い機能が存在するのか? 機能を一番多く備えているのか?
- 競合他社よりも商品やサービスの提供開始時期が早いのか?
- 競合他社よりもすぐれた技術者や開発者が在籍しているのか?
- アフターサポートがどの競合他社よりも充実しているのか?
ということを、一つ一つ確認していきます。
訴求すべき顧客のミッションや解決すべき課題を明確にした上で、企業として提案できる独自の価値や解決方法を洗い出すことは、「どのように情報を届けるのか?」というデジタルマーケティング施策を検討する前に、必ず実施しておく必要があります。
(3)社内規定の有無や組織の壁の存在を調べ、対処方法を考える
「訴求すべき顧客を具体的に定義」し、「訴求すべきバリュープロポジションやUSPを洗い出した」ことで、定義した顧客に、バリュープロポジションやUSPを「デジタルを利用して、どのように届けるのか?」という、具体的なデジタルマーケティング施策の検討ができるようになりますが、具体的な施策の検討の前に、「社内規定の有無」や「組織の壁の存在」を調べておくことをオススメします。
「社内規定の有無」では、下記に挙げられる点を、是非調べてみて下さい。
- 「個人情報の取扱い」に関して、社内でどのような規定があるのか?
- 「製品やサービスの情報開示」に関して、社内でどのような規定があるのか?
- 「Webサイトの運営管理」に関して、社内でどのような規定があるのか?
- 「メールマガジンの配信」に関して、社内でどのような規定があるのか?
- 「社内システムと外部システムの連携」に関して、社内でどのような規定があるのか? など
企業様によっては、「そもそも規定が無い」という場合もあり、「規定が無い = 何をしても良い」ということには決してなりませんので、「社内規定の有無」を調べ、「何が出来て、何が出来ないのか」、「どのようなことなら容易で、どのようなことなら実現困難か」ということを把握しておくことが、デジタルマーケティングの施策を検討する上で、非常に役立ちます。
また、「組織の壁の存在」に関しては、
- どの部門が「デジタルに対する意識やリテラシーが高い」のか?
- どの部門は、「アナログなプロセスを好んでいる」のか?
- どの部門の誰なら、「コンテンツ作成も協力してくれそう」なのか?
- 部門間の協力は、「どの責任者に依頼すれば、前向きに検討してくれそう」なのか?
ということ等を、事前に様々な部門の方々と意見交換することで、ある程度掴むことをお勧めします。
デジタルマーケティングでは、「小さく始めて、大きく育てる」ということが非常に重要なので、デジタルマーケティングに「協力的(前向き)な部門」をあらかじめ調べておき、「組織の壁を作らない」ように早い段階から協力を要請することが大切です。
「社内規定の有無」や「組織の壁の存在」を事前に調べておき、必要に応じて早い段階から対処方法を考えておくことで、デジタルマーケティング施策の検討がスムーズにできるようになります。
次回、連載コラムの第四回目(最終回)では、
「第四回目:どのようにデジタルマーケティングを始めれば良いのか?」
についてご紹介させて頂きます。お楽しみに!
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