顧客データを上手くマーケティングに活用できない理由と
効果的な活用方法のポイント
更新:2021年11月08日(月)| 公開:2021年11月08日(月)| データ分析
企業はさまざまなデータを保有していますが、そのなかでも重要なデータのひとつとして、顧客データがあります。データを活用したマーケティング施策の実施に欠かせない顧客データですが、保有はしているものの、どのように活用すればよいのかわからないといったケースも少なくありません。
そこで、企業が保有する顧客データを効果的に活用し、成果を上げるためのポイントについてお伝えします。
顧客データの有効活用で得られるメリット
自社のWebサイトやECサイトの会員登録、購買履歴のほか、アンケートやプレゼント応募など、顧客データの取得方法はさまざまです。取得したデータは上手に活用することで多くのメリットを生み出すことができます。
マーケティング施策の効率化
自社商品に興味を持ち、購入をする顧客像が明確でないと、誰に向かってマーケティング活動を行えばよいかも見えてきません。顧客データを有効的に活用すれば、自社に興味関心を持つターゲットが明確になります。その結果、最小限の手間とコストで最大限の成果を得られるマーケティング施策立案が可能になるでしょう。
利益増大
さまざまな顧客データをしっかりと分析できれば、顧客の消費行動が可視化されます。商品購入のタイミングやどのような商品に興味関心を持つかということもわかってくるでしょう。顧客に対し適切なタイミングで適切なアプローチが可能になり、クロスセルやアップセルを狙った施策で成果を得やすくなります。その結果、これまで以上に利益が上がる可能性も増大するでしょう。
有益な顧客体験の提供
顧客に対する適格なアプローチから得られるメリットは、企業側だけのものではありません。顧客にとっても、本当に求めているものをベストなタイミングで入手できることは大きなメリットとなります。有益な顧客体験を提供するという、顧客にメリットを生み出せることこそが、企業にとって最大のメリットといえるかもしれません。
顧客データの活用が進まない理由
企業はもちろん、顧客にとってもメリットのある顧客データの活用。しかし、顧客データを保有しているものの上手く活用ができていない、もしくは放置されているケースも少なくありません。その理由としては次のような点が考えられます。
各所で取得した顧客データが紐づけられていない
商品にもよりますが、顧客は同じ商品を購入する場合であっても、必ずしも毎回同じ場所で購入するとはかぎりません。基本的には実店舗で購入している場合でも、在庫切れでネット検索をしたうえでECサイトを使って購入するケースもあるでしょう。また、通常は利用しない店舗やサイトでたまたまセールをしているのを見て、そこでまとめ買いをする場合も考えられます。
そのため、1人の顧客データが、「実店舗」「ECサイト」「カスタマーセンター」などで分散しているケースは少なくありません。部署によって保持しているデータが異なるとすれば、ひとつの部署だけのデータ分析で施策を立てても、それが本当に顧客の求めているものとはかぎらないでしょう。
部署をまたがって顧客データが分散していることは、顧客データ活用が進まない理由のひとつです。
顧客データ活用の目的が明確ではない
顧客データを有効活用するためには、当然ながら何を目的として顧客データを活用するのかが明確でなければなりません。目的が曖昧なままでは、「顧客データのどの部分を使うのか」「顧客データをどう分析すればよいのか」もわからないでしょう。基本的なこととはいえ、データ活用の目的が明確になっていないために有効活用ができていないケースは多いのです。
目的にあった顧客データ分析方法がわからない
ひと口に顧客データの分析といっても、分析方法は多様でどの方法を選択するかによって結果も大きく異なります。例えば、自社商品の未購入者と2回以上購入した顧客の消費行動の違いを見るためには、コホート分析やデシル分析などが用いられます。目的が明確になっていなければ、どう分析すべきかがわからないのは当然ですが、目的が明確であっても、取得した顧客データを基にどのような分析が必要なのかわからないと、データ活用は進まないでしょう。
効果的に顧客データを活用するためのポイント
顧客データ活用の課題点を解消し、成果を上げるためにはどのような施策が求められるのでしょうか。ここでは、効果的に顧客データを活用するためのポイントを紹介します。
顧客データの整理、統合を行う
顧客データの有効活用ができない理由のひとつに、1人の顧客データをさまざまな部署で別々に保持していることがあります。そこで、各部署でどのような顧客データを保持しているのかについて確認し、それを整理し、顧客の個人名と紐づけながら統合することが、データ活用に欠かせない作業となります。
顧客データの活用目的を明確にする
保持している顧客データをどのように活用するのか、その目的を明確にしましょう。まず、自社の課題点を洗い出し、その課題解決に顧客データをどのように使えばよいかを検討します。場合によっては、自社の課題解決につながるデータがない場合もあるでしょう。その際は、改めてデータ取得を行い、そのうえで分析、マーケティング施策の立案へとつなげていきましょう。
適切な分析方法を実行
データを取得、統合を行ったら、目的に応じた分析方法を選定します。ここでは一般的な分析方法を簡単に見ていきましょう。
- コホート分析
同じ、もしくは近い時期に似たような経験をしている人々のグループといった意味を持つコホート。そこから転じてコホート分析とは、顧客を「同じ広告をクリックして購入」「同じメールマガジンから来訪して購入」などの条件や属性で分け、それぞれの顧客行動の傾向を見るものです。 - セグメンテーション分析
顧客を「性別」「居住地」「年齢」「家族構成」などでグループ分けし、それぞれの行動を見るものです。「男性で関東に住んでいる顧客にもっとも売れている」「独身で30代女性がリピーターになりやすい」などがわかります。 - RFM分析
R(Recency:直近)、F(Frequency;頻度)、M(Money:購入金額)の頭文字を取った分析手法です。具体的にはこの3つをさらに「高・中・低」の3つに分け、顧客を分類します。例えば、「R:3日以内」「F:週に1回」「M:3,000円以上」といった顧客はもっとも自社へ利益をもたらす顧客、つまり優良顧客として示されます。しかし、購入金額が高くても、「半年以上購入がない」「年に1回しか購入しない」といった顧客は非優良顧客、優先順位のやや低い顧客として把握することができます。 - CTB分析
C(Category:分類)、T(Taste:デザイン、サイズなど)、B(Brand:ブランド)の頭文字を取った分析手法です。顧客がどのようなタイプの商品を購入するのかという予測に役立つ分析手法として、主にファッション、食品、インテリアなどの商品の購入予測に使われます。 - デシル分析
自社商品の購入履歴からすべての顧客を購入金額の高い順に10等分し、それぞれのグループで購買データを分析する手法です。どのグループがもっとも割合が大きいのかを見たり、より購買金額を上げるにはどのグループに積極的にアプローチすればよいのかを調べたりする際に効果を発揮します。
顧客データの効果的な活用のポイントはデータ統合と適切な分析
インターネットの普及もあり、多くの企業でさまざまな顧客データの取得が可能となっています。しかし、顧客データを取得したものの、それをマーケティング施策に上手く活用できていない企業は少なくありません。その理由としては、「企業内の各部署で保有している顧客データの紐づけができていない」「何のために顧客データを取得しているのかその目的が明確ではない」などが考えられます。
こうした課題を解消し、顧客データを効果的に活用するためには、「顧客データの整理・統合」「顧客データ活用目的の明確化」が重要です。また、目的を実現させるためには、どのような分析が必要なのか、その手法の把握も欠かせません。この3点を意識することが顧客データの効果的な活用につながるでしょう。
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